井の頭公園の歌姫


『FRIDAY』3/12号に、あさみちゆきが紹介されているのを発見。



・ギター片手にゲリラライブ 中年オヤジが熱狂する「井の頭公園の歌姫」は誰だ!?


・テイチク こぶしdeねっと とくダネ「ちゆきがフライデーにスクープされた!?」


いまだに間違える人が多いが、「あさみ・ちゆき」という女性歌手である。
「あさみち・ゆき」「あさ・みちゆき」ではない。
歌は、藤 圭子とかちあきなおみの世界に近いと思う。(←スマン。あくまで個人的主観です)


彼女が井の頭公園でやっている路上ライブは、数回見に行ったことがある。
結構ざわついている土曜午後2時の公園の一角で、
マイク等を一切使わずにしっとりと聴かせる声量にはドキッとさせられる。
やたらと声を張り上げるだけの明るいフォーク系路上ミュージシャンとはまったく違う歌の魅力だ。


彼女は当初、ラジカセでカラオケを流しながらその前に立って歌うという形でストリート活動を始め、
話を聞きつけたプロデューサーによってスカウトされ、ギターの練習を課せられて
現在のギターの弾き語りスタイルへと変わっていったという。
デビューしてからも、地方キャンペーン等の合間を縫って、井の頭公園で歌い続けている。


公園の敷地の入口付近、メインストリートのすぐそばが定位置なので、通行人も結構多い。
しかし、あたたかい季節ならともかく、天候のよくない冬の日などは人気(ひとけ)も少ないわけで。
にもかかわらず、寒々しい空の下、そこにだけ中年男性ばかり15〜20人ほどが立ち並んで密集し
植え込みに腰掛けて歌っている彼女を取り囲んでいる様子は、独特の雰囲気を作っている。
事情を知らない通行人の目にはかなり異様に映ることだろう。


しかも、やたらとビデオやカメラを構える人が多いのも特徴だ。
この年代の男性は、いったんファンになると非常に熱心に応援してくれて
何度もライブに来てくれるので心強い存在なのだが、
歌を聴いて楽しんでいるというよりは、彼女の姿を記録にとどめることにご執心の人も多いようで、
あまりに多くの男性がカメラを間近で構えているのを見ると、
たまたま通りかかった若い人などが引いてしまうのではないかと思う。


また、同じ時刻に同じ場所で続けることも一つのやり方だと思うが、
やがてそこが常連客だけで埋められるようになると、
残念ながら“ストリートライブ”の意味は変質する。
通行人を振り向かせるために、自分を知らない人に必死に呼びかけるように歌っていたはずが、
常連客を大切にするあまり、いつしか彼らのために歌う姿勢へとシフトせざるを得ないからだ。
(だからこそ、川嶋あいが決して既存のファンに頼らない
 ストリート活動を続けているのには感銘を覚えるのだが)


とはいえ、あさみちゆきは、新しいファンを獲得するための活動を
別のところで日々精一杯やっているわけなので、
こういったささやかな内輪向けの場所、「ただいま」と帰って来れる場所を
守っておくのは決して悪いことではないと思うし
現にこうやってFRIDAYに載るような話題作りにはなっている。
ただ、「いろはにほへと公園巡りライブ」もやっているようだが、日時と場所を予告して
常連ファンをゾロゾロと引き連れてやるのは決して「ゲリラライブ」ではないし、
このやり方でファンが広がることを期待しても、ちょっと実際には難しいような気がする。


…しかしこのFRIDAYの写真、ちょっと化粧が濃くないか?(^_^;)