島津亜矢「帰らんちゃよか」


最新シングルで、吉幾三をカバーした「娘へ…」と両A面になっている曲が「帰らんちゃよか」。
最初にサンプル盤をもらって歌詞だけを読んだ時にすごく感動したのですが、
実際に聴いてみると想像と全然違う曲でした。
歌のスタンスが、さだまさしの「案山子」を思い起こさせることもあって、
ほのぼのとしたメジャー調のフォークソングを勝手に想像していたので。


作詞作曲は、熊本在住の関島秀樹さんというシンガーソングライター。
九州に住んでいる人なら知らない人はいないであろう、ばってん荒川さんが
かつて歌っていたものを、島津亜矢がカバーしたものです。


田舎で暮らす親の立場から、都会へ出ていった息子に語りかける、全編方言で書かれた詞。
個人的に、ばってんサンは福岡で活躍しているイメージが強かったので、
てっきり博多弁だと思っていたのですが
関島さんも荒川さんも熊本出身なので、熊本弁であると解釈するのが正しいのでしょう。


すごくいい歌なんですが、ちと大仰な演歌のアレンジになっていることに加え、
「うーん亜矢ちゃん、ちょっと感情込めすぎ…」という感じです。
この歌に出てくる親は、もっと楽な気持ちで、穏やかな笑顔で語りかけてるんじゃないのかな。
「帰らんちゃよか(帰らなくていいんだよ)」「心配せんでよか」というのが、たとえ強がりだとしても。
ばってんサンはどんな風に歌っているのか気になります。


あと歌詞で気になるのは、2番の中で「なかかい」、「なかかい」と2種類出てくる点。
「…じゃないのかい?」という疑問形の方言であることはわかりますが、
個人的には後者のほうが正しいと思うのですが。
最初は歌詞カードの誤植かと思ったのですが、
1回目では確かに「つ」を発音しているので、やはり意識して歌い分けているようです。
熊本弁ネイティブの亜矢ちゃんが歌っているのだからこれが正しいのだろうけど、なんか違和感。
うーん、使い分けがわかりません。


  「帰らんちゃよか」島津亜矢