信じたくない


なんだか、こんなふうに情報も漏れ始めているようだし、書いてしまおう。


今週になって、ある噂を聞いた。


 「トーホー堂が、今月いっぱいで閉店するらしい」


えぇっ? 嘘だろ? 耳を疑った。


東京・新小岩にあるレコード店・ヤマサトーホー堂は、
歌手が都内キャンペーンをする時に絶対に外せない、有名な演歌拠点店の一つだ。
店長(?)であるB氏は40代前半。大変バイタリティあふれ、
様々な音楽を情熱を持って売ろうとしている人だ。
特に演歌では多くの歌手から慕われており、多くの若手歌手を売れる前から応援し、
ほぼ毎週必ず歌手が店頭歌唱キャンペーンを行っていた。
また、独自の取材映像を駆使した革命的な総合情報サイト「Do演歌.com」も立ち上げている。


最近も、新小岩駅前であさみちゆきがストリートライブをやったり
閉店後に、降ろしたシャッターの前の場所を提供して
売出し中の歌手に弾き語りライブをやってもらうなど(通称シャッターライブ)、
常に積極的にアーティストを応援していた。
それはもう、通常のレコード店の業務の範疇を明らかに越える域だったかもしれない。でも、
「大手チェーンでないレコード店でも、これだけ歌手のために応援してやれることがあるんだ!」ということを
孤軍奮闘しながら、自ら行動して我々に示してくれたのだ。


音楽業界というと、レコード会社や放送局や新聞・雑誌社の人を思い浮かべる人が多いと思うが、
B氏のようなレコード店員こそ、まぎれもなく音楽業界の最前線で頑張っている人たちなのだ。
その頑張りには本当に頭が下がる想いだったし、幅広い知識や、演歌に対する情熱にも一目置いていた。
だからこそ、閉店というのは残念でならない。


人通りの絶えない賑やかな新小岩商店街の中にあり、総武線新小岩駅から徒歩3分という好立地。
もちろん演歌だけではなくJ-POPもきっちり揃えており、
接客も非常に丁寧で、地元の人から愛されているのがわかった。
どんなに他の演歌店が苦しくなっても、ここだけは独自のアイディアと頑張りで
しぶとく乗り切っていくだろうと勝手に思っていたのだが‥。


複数の人から別々に聞いた情報なので、閉店は間違いないのだろう。
ただ、まだ詳しい事情がわからないだけに、
関係者は驚きと不安と残念な気持ちを隠せずにいる。もちろん俺も。
B氏と連絡のとれた人はどれだけいるのだろう。


(追記)
ヤマサトーホー堂さんは、04年9月30日をもって閉店しました。
当日の模様はこちらをご参照ください。↓



・新小岩ヤマサトーホー堂さん、惜しまれながら閉店
 (『歌の手帖』編集長・ヒロヨさんの「裏歌の手帖・はみ出し日記ブログ版」)