美川憲一「ドラマチック・シャンソン2004」@ル テアトル銀座


美川さんがライフワークとしているシャンソンコンサート。今年で5回目。24日まで3日間。


昼間、リハーサル前に記者会見の時間が設けられ、
ゴージャスな家具や毛皮(なんとすべて私物!)が並んだステージ上、
美川さんがソファーに腰掛けて囲み取材がスタート。
生き様を込められる歌=シャンソンへの想いをあらためて熱く語る美川さんは、
9月15日にオリジナル曲を含めたシャンソンアルバム『人生はシネマのように』を発売している。
レコード会社はデビュー40周年記念パーティー開催を提案したが、
それを断り、代わりにアルバム制作を願い出て実現したのだとか。


囲み取材の後半はいつものように、コンサートとは関係ないワイドショー番組用のネタふりとなる。
テレビの女性インタビュアーたちは、「芸能界のご意見番」としてのコメントをもらうために
いつもの調子で軽い気持ちで聞いたのだろうし、美川さんもサービス精神旺盛なので、期待に応えたのだろう。
美川さんは、田代まさしの逮捕について自らふれたのだった。
しかし、これが意外な展開となった。
「彼はせっかく執行猶予ももらってたのに、どうして?!本当に信じられない‥」


その幅広い活躍をテレビで見ているとうっかり忘れがちだが
(ましてや俺は当時のことはよく知らないが)
美川さんは過去にクスリで過ちを犯したことがある。
普通なら、芸能人としてもうふれてほしくない話題のはずだ。


でもそれを隠そうともせずに積極的に語り、
「裁判官の言葉は今も重く受け止めている。あの約束を忘れたことはない」と
クスリから立ち直るためにはどれだけ壮絶な努力が必要かを語り、感極まった美川さんは、
「ホンットに大変だったんだから‥」と絶句し、30人ほどの報道陣とテレビカメラに囲まれた前で
突然両手で顔を覆い、声も出さずに静かに泣き出したのだった。


その間、数十秒。
テレビを通じて見る堂々とした姿しか知らない俺は、
そのような激しい感情の揺れを見せる美川さんの姿にものすごく衝撃を受けた。


当時を知る人は、
「事件のことなんか忘れたような顔してテレビに出やがって‥」なんて思っている人もいるのかもしれない。

しかし美川さんの中で、昔犯した過ちの記憶は、我々の想像を絶する程の
重い楔(くさび)となって今も心に突き刺さっているのだろう。
そうやって必死で乗り越えた経験があるからこそ、同じ過ちを犯した
同じ芸能界の(それほど親しくはなかったにしろ)人間のために、涙を流したのだろう。
「私は必死で頑張ったのよ。だから今の私があるのよ」


もちろんさすがは美川さん、その後は別の話題で笑い話に持っていって、場は和んだのだが‥。


大小の差はあれ、人は誰でも過ちを犯す。
芸能人であれば社会的に断罪されても仕方ないだろう。
でも、それをどう受け止めるかで、その後の人生に活かすこともできる。
美川さんの涙を見て、「過ちと償い」というものについて、あらためて考えさせられた。


シャンソンのことはよくわからないけれど、
堂々とした存在感のあるステージは素晴らしかったです。
美川さんの歌声、特に、あれだけ太く大きく響く低音域ってスゴイです。



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