日経ビジネスにソニー演歌チームの紹介記事


日経ビジネス オンライン「ニッポン“働き者”列伝」
ソニー・ミュージックエンタテインメント“演歌チーム”の巻」


・(前編)それでもソニーで、「演歌」を作る
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/nbonline.cfm?i=2007060600026cs&p=1
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/nbonline.cfm?i=2007060600026cs&p=2


・(後編)非主流がなんだ。ソニーの演歌はぶれていない
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/nbonline.cfm?i=2007060700022cs&p=1
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/nbonline.cfm?i=2007060700022cs&p=2


かなり突っ込んだ内容で、面白いです。
やはりこういう文章は、第三者が冷静な目で書いたほうがいいですね。


演歌全体の売上げシェアの低さや、雑誌やテレビ出演の難しさ、
さらには「店頭キャンペーンまでもが順番待ち」といった話、
ディレクターが魂込めて作った曲を、社内会議で「こんなの売れない」と
酷評された話など、非常に生々しい演歌界の実態が綴られています。
(いい作品を作ろうとする制作セクションと
 売りやすいものを求める営業セクションは、時折こうやって衝突します)


現在、ソニー演歌の社内ディレクターはK氏ただ一人。
(外部契約ディレクターもいるはずですが)
ACルームは大人向け全般のアーティストが在籍しており、
演歌専門の部署というわけではありません。
ちなみに「AC」とはAdult Contemporaryの略。


記事中には、プライドに満ちたスタッフの台詞がいくつも出てきていてカッコイイです。
とはいえ同時に、どこか諦め半分ゆえの開き直りというか、
やけっぱちの気持ちを行間に感じるのは俺だけでしょうか。(^_^;)
いえ、俺の中にも同じような気持ちがあるからこそ、共感せずにはいられないのです。
崖っぷちに踏みとどまり、少人数で戦い続ける彼らに、心からエールを送ります。


現在のソニー演歌は、伍代夏子藤あや子石原詢子、山本みゆきの4名。
多くの歌手が移籍して出て行った末に、100%文字通り
「美人演歌歌手」はソニー演歌の代名詞となりました。


「ぶれない」という言葉からは、時代錯誤な作品を作り続ける頑固者のイメージを受けますが、
それにはそれなりの理由があります。だって、そのほうが確実に売れるんだもの。
演歌を聴かない方たちには理解しづらいと思いますが、
現在の演歌の主な購買層であるじーちゃんばーちゃんたちは、斬新な演歌など求めていません。
演歌は、ゆったりとしたテンポで、昔ながらの古くさい歌詞の内容で、
カラオケで歌いやすい簡単なメロディのものがいちばん売れるのです。
ビジネスなんですから、会社としてあえて危ない橋を渡ろうとするより、
確実に売れるものを出そうとするのは当然でしょう。


「ぶれない」とはつまり、「堂々と演歌の王道をゆく」ということですが
言い換えれば「冒険しない」ということでもあります。
遊び心をもった作品を作る余裕は、ソニー演歌にはないでしょう。
他のレコード会社と比べて、より確実に売るための作品づくりに徹しているという印象があります。
参考記事


ソニーに限らず、演歌を作っているレコード会社やプロダクション全般に言えることですが、
演歌界は、もはや新規ファンを開拓する余力もなく、マーケットを急速に縮小させながらも
わずかばかり残っている年配の演歌ファンとともに
このまま心中するつもりなのだと思います。残念ながら。


ただ、それを黙って見ていることはきっとできないはずです。
ココを読んでくださっているアナタにも。この俺にも。