NHK「ディープピープル」に女性演歌歌手


さまざまな分野の3人が対談し、深く掘り下げる番組。今回のテーマは、女性演歌歌手。
渋谷公会堂のステージ上で3人が対談しているVTRを
関根勤中村慶子アナがスタジオで見ながら感想を挟む、という形。


曲に抑揚をつける、こぶし(小節)の入れ方は歌手によって異なる。
唱歌「しゃぼん玉」をこぶしを入れて歌う場合、どこに入れるか?という実演。
3人それぞれまったく違います。


「自分はファルセットが苦手なのだが、幸子さんのこぶしは
 ファルセットまで駆使して自在にやっている。一体どうやっているのか」
坂本冬美


最初、地声で低音から始めて、徐々に音程を上げて、高音のファルセット(裏声)まで持っていく。
地声からファルセットへの境目を感じさせることなく、ごく滑らか。
文字で書くとこんな感じ(?)。


「↓ああーーーーーーあーーーーーーぁぁぁ↑」


こういう練習をやったそうです。
小林幸子、サラッと簡単にやってくれましたが、これはものすごい技術です!
自然に出来ていたコブシが、ある日突然出来なくなることがある。
そういう時は、自分のCDを何回も聞き直すそうです。


長山洋子は、「じょんから女節」の歌詞“女の旅路”の部分は
オーバーに言うと「おんなのてゃびじ」と歌う。


小林幸子古賀政男に言われた言葉。「芝居は歌え、歌は語れ」。
長山洋子が、演歌デビューする前に作曲家・市川昭介氏にレッスンしてもらった時に言われたこと。
「洋子ちゃん、演歌は、足跡を残すように歌うんだよ」(聴く人に余韻が残るように)
聴き手が想像できる余白、隙間を残すことが大事だと。


関根勤、かつて萩本欽一に言われたこと。
「お前は、100万円持っていたら、100万円見せようとするんだよねお客さんに。
そうなじゃくて、5万円だけ見せて、懐に95万円まだ残りありますよ、
ということをしなくちゃいけない」


作詞家たかたかし、鈴木紀代、荒木とよひさのコメント。


長年歌い続けて年齢を重ねると、歌詞の理解度や解釈が変わってくる。


のどを酷使する演歌歌手がどんなケアをしているか。
坂本冬美のコンサートの楽屋にカメラが密着して、
ノドのケアのために持ち歩いている、として紹介されたのが、移動中や就寝時につけるマスク。
のど飴。さらに、それを小さめに割ってカケラにしたもの(それを2つずつパックにした状態)
「歌う時に、これを歯ぐきに忍ばせるんです。大きな飴のままだとバレちゃうので」
キティちゃんやカエルのかわいいケースに入っておりました(笑)。
その他、うがい薬、炎症を防ぐとされるプロポリス、のどを潤すための吸入器(ハンディタイプ)。


「私もこのくらい常備しておかないと不安になる」と、同意する長山洋子
「こんなたくさん持ってる人初めて見た」と驚く小林幸子


「だって幸子さん、寝る時にマスクしますか?」と同意を求めるニュアンスで尋ねる坂本冬美に対し
小林幸子は驚いた表情で「しませんよ!?」


長山洋子
「私はマスクじゃなくて、乾いたタオルを口の上にかける。
 マスクだと起きた時に顔に跡がついちゃうので」


坂本冬美は、寝ている間もなるべく鼻呼吸するために、口が開かないよう、
細いテープを縦に貼って留めて、その上からマスクをして寝ているそうです。
その徹底ぶりに、小林幸子から
「(そこまでやるなんて)ちょっと…変。やりすぎだと思うよ」
と笑われておりました。


私はなんとなく、「歌い手さんは皆、寝る時はマスクをしている」というイメージがあったので、
「するわけないじゃない!?」という小林幸子の反応に驚きました。
人それぞれだし、環境によるんでしょうけど。
加湿器のない、旅先のホテルの部屋とかだと空調のせいでやたらと空気が乾燥しますからね。
鍛え方が違うのかな。


一方、幸子も「自分もやりすぎかな?」と思い当たる事があるようで、
MRI検査を一年で4、5回やっているとのこと。
「何か異常が見つかるかもしんないと心配で」


関根勤も、大滝秀治のモノマネをやりすぎてノドを痛めた時に
小林幸子から紹介された医者に行ったとか。


また、紅白衣装の一部を保管している、小林幸子の事務所の倉庫スペースにカメラが。
重さ3キロもあるというヘッドドレス(頭の被り物)。
実は頚椎の3番めを痛めているそうで、
声帯の先生が「幸子さん、それはもう一生お友達ですね」と言われたとか。
あまり重いものを被るのはよくないらしい。


衣装へのこだわり。
小林幸子は、「登場の美学」というものを、師匠と仰ぐ市川猿之助から学んだと。
出てきただけで、どんなものを見せてくれたのかとワクワクさせるもの。
ディズニーランドへ行って、花火やパレードそのものも見るけど
それを見て喜んでいるお客さんたちの反応を見る。どういうものに喜んでいるのか。


長山洋子。曲の世界観に合わせた着物を着る。
アイドル時代の時、演歌の人たちがなぜみな着物で、髪もアップにしてるんだろうと不思議だった。
曲のタイトルもお酒とかで似たり寄ったり。
でも自分が演歌歌手になると、やっぱり着物を着ないと落ち着かない自分がいる。
着物が歌の世界を支えてくれて表現ができる。


坂本冬美。「夜桜お七」を歌って以来、お花というと桜。桜柄の着物を着ると自分らしくなれる。
小林幸子。シンデレラ姫、かぼちゃの馬車などがデザインされた着物を紹介。


着物を着ることで、歌手としてのスイッチが入るそうです。


演歌歌手になって変わったこと。
長山洋子でございます」等、ございますを使うことが増えた。

よく言われる、演歌歌手が歌い終わった後、声を出さずに
口の動きだけで「ありがとうございます」とやるアレは、
坂本冬美によると「あれは小林幸子さんのを見てやってるんですよ。間違いなく」
「えぇーっ!?あたし??」