2011年の演歌・歌謡界を振り返ってみる


演歌界の2011年の出来事を振り返ってみます。
あくまで個人的な感覚のうえで印象に残った事柄であることをお断りしておきます。


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東日本大震災関連】


想像を絶する大きな被害と犠牲者を出したうえに
原発事故を引き起こし、放射性物質の影響が
長きにわたって日本の将来に不安の影を落とすことになった東日本大震災


震災直後、「歌手の誰々がいくら義援金を出した」とか
「タレントの誰々が現地へ物資を届けた」といった報道が相次ぐ中、
「演歌歌手は何をやっているのだ?」という、今から思えば心ない声もありました。
義援金は別にしても、何か被災地のためにしたいのに
様々なしがらみのために行動に移せなかったり、
大きすぎる被害を知って「歌なんか歌っている場合じゃない」と
無力感に苛まれたり、歯がゆい思いをしていたのではないでしょうか。
実家や家族が、直接被害を受けた歌手もいます。


やがて、オフィシャルサイトやYouTube等で、歌手が
被災地に向けて肉声のメッセージを発表する動きが。
坂本冬美長良グループ(※現在は削除)、天童よしみなど。


あまり大きく報道されませんでしたが、演歌歌手の連名による
「演歌義援金」も行われました。


3〜4月に予定されていたコンサート等の予定は次々と中止・延期に。
自粛のムードが漂ったのに加え、度重なる余震と
東京電力が行った計画停電で公共交通機関の混乱が予想され、
観客の安全性が保証できないというのが理由でした。


当初4月に発売を予定していた水森かおりの新曲「庄内平野 風の中」は
東北に配慮して発売延期され、結局6月に発売
他にも、CD工場が稼働できない等の理由もあったと思いますが
4月に予定されていた各社の新譜の発売スケジュールが
数ヶ月後ろへずらされたと聞いています。


あさみちゆきは、余計なことは一切言わず、
バンドメンバーらと共に、ただ「あした」をセッションして歌う動画
テイチクのサイトで公開しました。


チャリティーコンサートを開催したり、売上の一部を義援金として寄付する
チャリティ楽曲を発売する動きも。
通常のコンサートやキャンペーンも少しずつ開催されるようになりましたが
収益の一部を寄付するチャリティ公演としたり、募金箱を置いたりするケースが多くなりました。


音事協による「演歌キャラバン隊」が実施され、
全8回にわたって、演歌歌手が被災地を訪れ、物資を届けるとともに
避難所などでコンサートを行いました。


…と挙げてみましたが、演歌・歌謡歌手が行った震災チャリティ活動については
すべてを把握できるものではありませんし
ここを読んでくださっているあなたが応援している歌手も、必ず
何か「歌手という立場からできること」をやっているはずです。
報道されていないところで、人知れず何度も被災地を訪問したり、
物資や義援金を送っている人も多くいます。


私事ですが、直接的な被害を何も受けていない私が出来たことといえば
ささやかな義援金・募金等のみで、甘っちょろい自己満足の域を出ておらず
これから現地の人たちとどう向き合っていくべきなのかを考えると
いまも葛藤でうまく言葉になりません。


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【新人歌手】


今年デビューした新人歌手は、
はなまるうどんとのタイアップも話題となった蒼彦太
デビュー直後に震災が起きたこともあってか、いちばん大事な時期に
プロモーション活動が十分にできなかった印象があります。頑張ってほしい。
「カラオケ流し」蒼彦太 「カラオケ流し」蒼彦太


コロムビア100周年記念アーティストの伊藤美裕
演歌ではなく、少し懐かしいサウンドのポップスを歌います。
「走れ!歌謡曲」のパーソナリティも担当
素直な性格の出ているトークは発展途上ですが面白いです。
年末には日本レコード大賞の新人賞も受賞しました。
「六本木星屑(スターダスト)」伊藤美裕 「六本木星屑(スターダスト)」伊藤美裕


その他、歌謡曲系の歌手や、メジャーレーベル以外からデビューした演歌歌手もいますが
ここでは割愛させていただきます。


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【ユニット活動、意外な組み合わせのデュエット】


昨年結成された、キングレコードの長身女性3人
水田竜子市川由紀乃小村美貴によるBeauty “SRWs”(ビューティ・スルー)は
シングル「恋のシャンソン人形」を発売。
しかしながら、発売直前に小村美貴が体調不良のため突然活動休止してしまい
その後のコンサートやプロモーション活動は市川・水田の2人のみで行われ、
いまひとつ盛り上げることができませんでした。もったいなさすぎる…。(>_<)

「恋のシャンソン人形」ビューティ・スルー 「恋のシャンソン人形」ビューティ・スルー


こちらも昨年結成された、南かなこ、三代目コロムビアローズ、松川未樹出光仁美による
コロムビアガールズコレクション(CGC)は、普段とは大きくイメージの異なる
ピンクと白のフリフリ衣装で「夢色ラプソディー」を発売。
さんまのスーパーからくりTV」に出演して「北の宿から」の替え歌も披露。
8月に中野で開催されたサマーライブを一区切りとして
グループでの活動はいったん停止していますが、いずれまた4人が揃うことに期待します。


「夢色ラプソディー」コロムビア・ガールズ・コレクション 「夢色ラプソディー」コロムビア・ガールズ・コレクション


他にも、池田輝郎&夏木ゆたかの「なじみ酒」、おおい大輔&みずき舞「いつものお店で…」など
これまでになかった組み合わせのデュエットが登場。
カレンは、「いつでも夢を」を、プロデューサーであるつんく♂とデュエット

11月に一挙発売された、永井裕子井上由美子による“なでしこ姉妹”をはじめとする
全6組の「キング夢のデュエットシリーズ」も斬新でした。


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【結婚】


8月、小林幸子が57歳にして医療会社社長と結婚することを発表し
11月に無事入籍
もちろん初婚です。これは今年の演歌界最大の喜ばしいニュースだったのではないでしょうか。


田川寿美会社役員と結婚したことを11月に発表。


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【病気・ケガ】


大泉逸郎が1月に脳梗塞で倒れ、一ヶ月半入院。3月末に復帰


小村美貴が4月から体調不良のため休養
その詳しい理由などは不明で、いつ復帰できそうなのかの情報もありません。
必ず帰ってきてほしいです。


水前寺清子は6月にコンサートで膝をケガ


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【おくやみ】


潮来花嫁さん」の花村菊江が死去
「千恵っ子よされ」の岸千恵子が死去
作詞家としても活動した、脚本家の市川森一氏が死去


鳥羽一郎山川豊兄弟の母が死去
新沼謙治夫人が死去


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【テレビCM等】


池田輝郎が、大阪ガスのCMに出演。
テーマソングを演歌風に歌う姿が話題に。
↑これはたぶん、当ブログで今年最も多く、検索されて見られた数の多かった記事だと思います。


ジェロは三幸製菓のCMに。
吉幾三「もじバケる」CMソングを。
五木ひろし木下の介護マンションのCMに。
北島三郎「ALL FREE」のCMで盆踊り風の「天才バカボン」を
坂本冬美春日井製菓ののど飴のCMに。
八代亜紀CMで三浦春馬と共演


そして、アンジェラ・アキユニクロのCMで「津軽海峡・冬景色」をカバー
これは衝撃的でした。



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【勝手にPV大賞】


黒木姉妹「恋していいですか」
CGを多用した可愛らしいPVです。


前川清「SEA SIDE WOMAN BLUES」
前川さんがイイ味を出して演じている、ストーリー仕立て。
美女の髪の色が、途中から突然金髪っぽくなる辺りでオチが見えますけど。(^_^;)


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【その他特筆すべきニュース(順不同)】


ジム・オルーク氏が、新平成歌謡塾のレッスンコーナーに出演し、
矢切の渡し」を歌唱。意外すぎる映像が話題になりました。


氷川きよし、2月に新橋駅前でフリーライブを開催
その後9月にも池袋サンシャイン噴水広場で新曲イベントを行なっていますが
まさか新橋でやるとは意外でした。


カレン、関西100日間修行にチャレンジするも
CD5000枚手売りするという目標に届かず、期間を延長の末ようやく達成


二葉百合子歌手活動から引退
その後も指導にあたっている他、弟子にあたる歌手のコンサートにゲスト出演したりしています。


アール・エフ・ラジオ日本radikoに参加


テレビ東京で10月より、新しい歌番組「木曜8時のコンサート〜名曲!にっぽんの歌〜」がスタート


NHK札幌で7月、北島三郎のボーカルパートに合わせた
自由な伴奏をパート別にネット上から投稿してもらい、
ミックスさせてバーチャルセッションするという「サブセッション」を放送。
なんと第2弾が年末に全国放送されました。


西田あいが、「週刊プレイボーイ」にグラビアで登場
その後、「別冊SPA!」の表紙を飾ったり、「FRIDAY」にもグラビアが載ったりしています。
演歌歌手ではなく、昭和テイストの歌謡曲を歌う歌手ですが
若くてスタイルもよく、笑顔の素敵な美人さんで
何より、ビジュアル面の自分の魅力を出すことを楽しんでいるようなので
近い将来、歌とは別のきっかけから注目されてブレイクすることもあると思っています。


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【個人的に印象に残った曲】


桜井くみ子「途中下車」
花咲ゆき美「面影草」
走裕介女満別から」
・伊藤美裕「why?〜真夜中の予感〜」
三代目コロムビア・ローズ「いつかその気になったら」


ううむ、もっとある気がするのですが
該当曲がないというよりは、私がきちんと聴けていないためです。_| ̄|○
ローズの「いつかその気になったら」は、たぶん今年
生歌で聴いた回数の最も多い楽曲です。


今年は、印象に残るほど売上実績を出せた作品がなかったのが残念。
坂本冬美がポップス風バラードの路線を確立しつつあるのは
演歌歌手の存在感をアピールすることに大きく貢献していて心強いです。