そこは自覚なき無法地帯


ネット上を見ていると、演歌ファンの著作権・肖像権に対する
意識の低さ・無知ぶりが、あまりにひどすぎてため息が出る。トホホ。
無断掲載・無断引用はイケナイことだと知っていて
コッソリ控えめにやっているフシが窺えるのはまだ可愛げがあるが、
まったく自覚のないまま自分がイベントで撮った大量の歌手の写真や、
CDからコピーした楽曲を好き勝手に堂々と公開している人が多いから始末が悪い。
ページを開くと、CDに収録されているオリジナルカラオケがBGMとして流れてきた日にゃビックリする。
人気J-POPアーティストのファンサイトを作ってこんなことやったら、
すぐJASRACに通報されてオオゴトですよ?


写真についても、演歌のイベントは「撮影OK」の場合が多いが
(それもファンサービスの一つだと捉えているため)、
それはあくまで、撮った写真を個人的な範囲で楽しむことを前提にしているのであって
「撮った写真はどうぞご自由にネット上でバンバン公開しちゃってください」
とまでは言ってないはずだ。


イベント会場でファン同士がアルバムを見せ合いっこしているのとはワケが違う。
ネット上で公開した時点で、不特定多数の人がダウンロード可能な状態になっているわけで、
それは写真をバラまいているのと大差なく、もう「個人的な利用」の範囲を明らかに逸脱しているのだ。
しかもピンボケやブレている写真、ヘンな表情になってしまっている写真もたまにあって、
見ていて非常にイタイ。


一枚一枚、出来上がった写真を事務所にチェックしてもらってから公開すれば問題ないのだが、
ごく一部のサイトを除き、それがなされているとは到底思えない。
ましてや、リハーサル風景やイベント終了後の私服姿といった、
基本的に「皆様にお見せするハズのない姿」を撮って
無断で公開するのは、モラルに反しているのではないだろうか?


だいぶ少なくなったが、テレビ歌番組のキャプチャー画像を堂々と公開しているサイトも目立つ。
著作権というのは何も歌詞やメロディに限ったのものではない。
歌番組の画面、音声、すべての著作権はテレビ局にあるのだ。


そこでは「自分が撮った写真を他人に自慢したい」「見ている皆も喜ぶはずだ」
「他のファンサイトでも同じことやってるじゃないか」という
勝手なファン心理が働いていることは想像に難くないが、
残念ながら、それは歌手の肖像権、作家・テレビ局等の著作権を侵害していることに他ならない。
いくら「ファンだから、好きで応援しているだけなのに!」と言い張っても、
「むしろファンを増やすのに貢献しているのだから感謝されてもいいくらいだ!」と開き直っても、
それはまぎれもない犯罪であり、歌手の活動を妨げることにつながるのだ。


「ここは個人的なサイトであり、○○さんの所属事務所等とは一切関係ありません」とさえ書いておけば
許諾を得る必要ナシに自由に写真や楽曲を使用できると勘違いしている人も多い。
J-POP含めてアーティストのファンサイトは無数にあれど、これほど野放しにされているのは演歌だけだ。


歌手の事務所は
「宣伝になるから」「せっかく好意で応援してくれているのに、ファンとの関係を悪くしたくないから」と
黙認してる(あるいはチェックする余裕がない)のが現状なのだろうが、
そこはキッチリ啓蒙すべきではないのか?


がんじがらめに規制しろとは言わないが、こういったファンの無自覚&歌手側の甘やかしが

演歌をさらなる袋小路に追いやっているように思えてならない。



・音事協 肖像権Q&A 「肖像権ってなんですか?」

 →「タレントの写真や映像を自分のホームページに使いたいのですが…
  ホームページは売り物ではないのですから問題はないと思うのですが…」



・日本レコード協会「LOVE MUSIC? SAVE MUSIC!」
  音楽を愛するあなたに知ってほしい 音楽を利用するためのルール(ネット編)