NHK『クローズアップ現代』 演歌の逆襲〜ヒット連発の秘密〜
前々から演歌・歌謡ファンの間で話題になっていた
『クローズアップ現代』がついに放送されました。
これまでの主な購買層であった、カラオケ愛好者とは違う層に
支持されてヒットした曲が増えてきている例を紹介。
演歌の復権を視聴者に印象づける、ツボを押さえたよい内容でした。（^＿^）
ジェロ、秋元順子、あさみちゆきの3人のVTR紹介がメインでした。
NHKのアナウンサーが進行しつつ、ゲストの作曲家・都倉俊一氏が解説するという形。
何故に都倉氏？と思いましたが、演歌に詳しい人が出るよりは
客観的に語ってくれてよかったと思います。ただ、
“「海雪」を聴いた時、なんて美しい日本語を使った歌だろうと思った”というのは
ヒットした後だったら誰でも言えるわ、とツッコみたくなりましたが。（^＿^;）
（美しい日本語を使っている演歌は他にもたくさんあるぞ、という意味で）
ジェロの担当ディレクター・川口法博氏と、「海雪」作曲者の宇崎竜童氏が
「海雪」のメロディができるまでに何度も書き直しをしたことを振り返っていました。
サビのメロディについて、ゆったりした当初のものと
16分音符や8分音符がズラリと並ぶ完成したものを、両方楽譜で示して違いを強調。
宇崎氏も、「海雪」のサビは難しくて歌えないそうです。
秋元順子は、デビュー曲の「マディソン郡の恋」が、
職業作曲家ではない人によって作られたものであり、
当時無名のジャズ歌手だった秋元に歌唱を依頼して歌ってもらったことを紹介。
これまでと違う作られ方をしており、また社交ダンスの曲に使われるなど
従来と違う層に受け入れられ、ヒットに結びついたと紹介されました。
今はコンサートも大人気。観客のアンケート用紙には、他に聴いている歌手について
高橋真梨子、森山良子、コブクロの名前が挙がっていました。
「マディソン郡の恋」のロングヒットが秋元順子の知名度を高めたのは事実ですが、
それは2年以上前のことであり、
現在のコンサートでの人気は、「愛のままで…」のヒットによるものが大きいはずです。
今年の出来事であるかのような印象を与えたのではないでしょうか。
あさみちゆきは、井の頭公園で数百人に囲まれて歌う様子の他
テイチクの松下章一ディレクターを取材していました。
音楽が短期間で消費される傾向にある今、息の長いヒット曲にするには
“歌詞”に共感してもらうことが大切だと語っていました。
「青春のたまり場」の歌詞の一部を字幕表示して紹介。
清水博正は、「雨恋々」が10万枚売れていることのみ、ごくわずかの紹介。
その他、西方裕之が新星堂で歌唱キャンペーン＆即売会を
行っている映像が流れましたが、名前は出ず。
それから、スタジオセットの背景にたくさん設置されていた画面の一つに
美月優の写真が映っていましたが、こちらもふれられませんでした。
冒頭で、演歌の復活を示す意味で折れ線グラフが表示され
2000年の時点で演歌のシングルシェアは3.6％と低かったものの
2007年に10.8％にまで伸び、
2008年はそれをさらに上回りそうだ、との説明。
ただし、これ「オリコン調べ」なんですよね。
2006年まではだんだんと数字が下がっていっているにもかかわらず、
2007年に急に跳ね上がっています。
このブログを読んでくださっている方であれば
お気づきのことと思いますが、これはおそらく
「千の風になって」や関ジャニ∞の曲を含んでいます。
つまり、正確な意味での演歌・歌謡のシングルシェアは10％もなかったはずです。
あの数字を鵜呑みにしてはいけません。
とはいえ、今年、ジェロや秋元順子のヒットで演歌・歌謡曲が久々に活気づいており、
また、これまでと違った層の人たちに届いているのは事実ですし
数年前には考えられなかったことです。
ただ、これらのヒットは従来の演歌の制作手法から生まれたものではありません。
演歌のベテランディレクターと演歌の大御所作家が作ったものが売れたのではなく、
ましてや苦節○年の歌手がヒットを出したのでもなく、
まったく別のところから参入したニューフェイスたちが演歌を活気づけているのです。
なんとも皮肉であり、また痛快ではありませんか。
（追記）
J-CASTのテレビウォッチのページに、こんな記事が上がってました。
・「私見 クローズアップ現代」 本当の「プロの歌」を聴きたい 演歌「復権」の背景とは
タイトルに「私見」と書いてあるものの、
この記事は番組の内容を単純にまとめただけで、
独自の私見と呼べそうなのは最初と最後の2行ずつのみです。（-＿-;）
見逃した人にとってはありがたいですけどね。
J-CASTって、毎回この番組の内容をウォッチしてるんですね。
http://www.j-cast.com/tv/a16_closeupgendai/
