ユニバーサルミュージック、3月から大人向け音楽の販促キャンペーンを開始


・CD「オトナ需要」狙え ユニバーサル、来月から販促 (フジサンケイビジネスアイ


これは興味深い動きです。
大人の客向けに、「音楽ソムリエ」のような役割を
果たしてくれる人が必要ではないか、という声は以前から時々耳にしていました。


特に若い世代は、店員との会話を避け、ドライな接客を好む人も多いでしょう。
勝手に試聴機で聴いて、選んだ商品を黙ってレジに持っていくだけです。
大きな店、いわゆるメガストアでは、人員の問題もあって
一人ひとりの客に時間をかけて対応するのは不可能です。
でも、中高年以上の人にとっては、商品の品揃え以前に
「店に入りづらい」「わからないことを気軽に聞ける店員がいない」
といった環境が、障壁になってしまいます。


ただ、店員と客が会話する「対面販売」がきちんと出来ている
小規模の店では、昔から当たり前にやっていたことなんですよね。
地元のお客さんが大勢ついていて、挨拶をかわし、世間話をし、
客の嗜好を聞き、それを覚え、迷っている時はその人に合ったおすすめ商品を出す。
気に入ってもらったら、店の信頼度が増す…。
そんな、まさに「ソムリエ」の役割を、店員が果たしてきたのですから。


演歌・歌謡曲ジャンルに熱心に取り組んでいるレコード店の方は
「演歌のお客さんには対面販売が鉄則」と口を揃えるはずです。

音楽ソフトの生産額は2008年まで10年連続で前年実績を下回っている。
中高年に焦点を当てた業界初のキャンペーンにより、市場の活性化につなげる。
(中略)
売店の従業員教育を強化し、日ごろCDショップに足を運ばない層が、
商品を買いやすくする売り場づくりを推進。このほか、年配の来店客からの
問い合わせに的確に応対できる、音楽ソムリエの育成を目指す。
フジサンケイビジネスアイの記事から引用)


「年配客の問い合わせに対応できる従業員を育成」とありますが、
ユニバーサルミュージックには、演歌歌手がわずかしかいないので、
演歌・歌謡に詳しい店員を、ユニバーサル主導で教育できるとは思えません。(^_^;)
この場合、同社が想定しているのは徳永英明中森明菜、あるいは
70〜80年代の音楽や、洋楽のスタンダードといったところでしょうか。


こういう施策が実施されるのは、裏を返せば
着うたなどの配信ダウンロード販売が好調とはいえ、
いかに音楽CD市場が逼迫しているか、ということの表れと言えます。


売店(ディーラー)側ではなく、レコード会社側(しかも一社)の主導で行って
どこまで効果があるかは疑問ですけど、時流を読んで行動に出たのは注目したいところです。
こういうことこそ、日本レコード協会全体で取り組むべきでは。