北島三郎 幻のデビュー曲「ブンガチャ節」をNHK歌謡コンサートで初歌唱へ


・サブちゃん歌う!幻デビュー曲“解禁”


5/19のNHK歌謡コンサートで、歌う予定だそうです。
「ブンガチャ節」は、昭和37年6月に発売された北島三郎のデビュー曲。
なぜ「幻」なのかというと、わずか一週間で放送禁止になったため。
確かに、テレビや舞台を含め、歌っているところを見たことがありません。


特に隠しているわけではないのでしょうけど、プロフィールによっては
デビュー曲を「なみだ船」としている場合と
この「ブンガチャ節」としている場合が見受けられます。


大変軽快で小気味よいリズムの曲です。
歌詞を見ていただければ分かりますが、特に問題がある内容には思えません。


・北島三郎「ブンガチャ節」の歌詞 (歌ネット)


問題とされたのは、北島三郎が歌う部分ではなく、合いの手で入ってる


 ♪キュッキュキュー キュッキュキュー


という男声コーラスの部分がエロティック(卑猥)であるから…というのが
一般的に知られている理由です。北島三郎さんの自叙伝等でもそう書かれています。
(ベッドの軋む音を想像させるから、ということらしい)


はるかに過激な歌があふれている現在の価値観からしても、(いえ、おそらく当時も)
えっ、「そんな風に捉えて目くじら立てる人がいるの!?」と思わざるを得ません。(^_^;)


ただし、上記とは別の説もあります。


「ブンガチャ節」は、作詞:星野哲郎、作曲:船村徹 となっていますが、実際には
既に歓楽街で広く歌われていた、卑猥な内容を含む「春歌」(キュッキュラキュ節?)が元になっているそうで
たとえ歌詞を変えたところで、出自がそうである以上、放送するわけにはいかなかった…


というものです。実際、どうだったのでしょう?


北島さんはデビューが決まるまで、大変な苦労をしながら
渋谷の酒場でギターを持って「流し」をしていました。
何千曲とレパートリーを持っていたはずで、もしかしたら元歌も知っていて
酔客が「♪キュッキュキュー」と合いの手を入れて盛り上がっていたかも。
そんな経歴を意識したからこそ、この歌がデビュー曲として
用意されたのでは?と想像することもできます。


ただ、デビューへ導いた船村徹氏は、北島さんが「流し」をやっていることに批判的で
弟子にすると同時に「流し」は辞めさせた、とどこかで読んだ記憶があります。
そんな船村氏が、なぜ「ブンガチャ節」をデビュー曲に選んだのか?
3ヶ月後にあらためて発売された「なみだ船」は、今で言う本格演歌路線の曲調。
それと比較しても、軽いノリの「ブンガチャ節」が妙に浮いた存在に思えるのです。


完全なオリジナルではないことになりますが
作詞家・作曲家が、口伝で存在していた民謡や俗曲を「採譜」し、
新たな曲として発表することはそれほど珍しくなかったのだろうと推測されます。