成果が問われる「タワーレコード的 演歌・歌謡曲キャンペーン」


もう最終日を迎えてしまいましたが、(期間は2月6日〜3月29日)
タワーレコード的 演歌・歌謡曲キャンペーン」について。


開始直後に当ブログで一度ふれたように、あのタワーレコード
同社始まって以来初の演歌・歌謡曲のキャンペーンをやると聞けば、
一体どんなことをやるのかと、誰だって期待します。(^_^)


で、入手したのが店頭で配布されていたこのキャンペーン冊子。


タワーレコード的演歌・歌謡曲キャンペーン冊子


全16ページで、坂本冬美水森かおり、ジェロ、中村中氷川きよし吉幾三
山内惠介小金沢昇司秋元順子森山愛子あさみちゆきさだまさし大江裕
茉奈佳奈マナカナ)、フランク永井美空ひばり(掲載順)が
写真と新譜ジャケット、紹介文付きで1ページずつ掲載されています。
(※ただし、さだまさし大江裕フランク永井美空ひばりはそれぞれ半ページ)


紹介文は、インタビュー記事ではないものの、基本的な情報をしっかり盛り込んだ内容でした。
しかし、「演歌・歌謡曲」という括りにするには、明らかに違和感のある顔ぶれが混じっています。
さだまさし大江裕が並んで紹介されるとは…。(-_-;)


中村中昭和歌謡に造詣が深いし、ジェロに曲提供もしたから?
茉奈佳奈は、主演したNHK連続テレビ小説『だんだん』の中で
二人が歌手活動し、懐かしい曲を歌っていたから?
さだまさしは昨年、美空ひばりのカバーアルバムを発売したから?
よくわかりません…。


では、実際の売場ではどんなキャンペーン展開がされているのか。
それを確かめに、新宿店を見に行ってきました。


(※以下はあくまで新宿店の様子です。
  タワレコの売場展開はおそらく各店舗の責任者に任せられており、
  どこの店も同じではないことを最初にお断りしておきます )


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レジカウンタと、正面エレベーターを結ぶライン上、
J-POPの試聴コーナーに挟まれた好立地(?)のポイントに
タワーレコード的演歌・歌謡曲キャンペーン」の什器を発見!(^_^)


しかし…


タワーレコード新宿店


前述のキャンペーン冊子に掲載された歌手のうち、ラックに商品が並んでいるのは
秋元順子氷川きよし山内惠介、そして中村中のみ。
それ以外は、綾小路きみまろ、すぎもとまさと「吾亦紅」の他、
右側ラックにはCHAGE&ASKAのベスト盤、松任谷由実徳永英明、『R35』なども並んでいます。


工工工エエェェ(´д`)ェェエエエ工工工


えっ?ユーミンも? と目を疑いましたが、そこには確かにユーミンのベスト盤があり、
「演歌・歌謡曲キャンペーン」のシールがしっかりと貼られていました。
これが、タワレコの考える「演歌・歌謡曲」ということなのでしょうか。うーん。
「演歌・謡曲キャンペーン」という名称ですから、百歩譲って
チャゲアスユーミンも広い意味での“歌謡曲”といえばそうなのかもしれませんが…。
いやいや、常識的に考えて、チャゲアスユーミンの商品があると思って
この「演歌・歌謡曲」と大きく書かれたコーナーに近づく人はまずいないでしょう。


せめて最低限、今回作った冊子に載せた歌手全員の新譜を
紹介文を添えて面出しし、試聴機の一つも置くべきではないでしょうか。
せっかくキャンペーンを組んでもらえたにもかかわらず、
当の演歌歌手はほとんど無視された形なのが残念。


ちなみに上の写真の裏側は、旧譜が10%OFFの割引価格で並べられ、ワゴンセール状態。
ちょっと前の演歌旧譜に混じって、80年代あたりに活躍した歌手の作品などもあったような。
それもキャンペーンの一環なのですが、売れ残った旧譜の
「在庫処分セール」のように思えてなりませんでした。_| ̄|○


すぐ横のJ-POPやインディーズのコーナーでは、
熱い気持ちのこもった紹介文のポップが添えられ、
ヘッドホンで聴ける試聴機がたくさん設置されているというのに。


キャンペーンという割には、商品ラインナップは甚だ不十分だし、試聴機もナシ。
紹介文も添えられておらず、パンフレットを山積みしておいて
「これに全部書いてあるから、興味のある人はこれを見てね」という姿勢。
残念ながら、そこから「演歌・歌謡曲を応援したい!売りたい!」という
気持ちを感じ取ることはできませんでした。


繰り返しになりますが、私は新宿店だけしか見ていません。
新宿という土地柄、また百貨店でなく専門ショップばかり入ったビルの7Fという立地からしても
よほど明確な目的がない限り、演歌ファンがこの店に足を運ぶことはないでしょう。
そういった客層やこれまでの実績をふまえた結果、あえてこういう展開をしたのかもしれません。
あるいは、あまり詳しくない同店のスタッフが、もともと在庫の少ない演歌・歌謡商品を
精一杯集めて、知恵を絞った結果だったのかも。
他のタワレコ店舗ではどんな展開をしていたのか、気になります。


心配なのは、今回の「演歌・歌謡曲キャンペーン」について、タワレコ社内で
「キャンペーンを展開したにもかかわらず、反応がなかった」
「演歌・歌謡曲に力を入れても、販売に結びつけるのはやはり難しい」
と判断されてしまうことです。もし、どこの店舗でも新宿店と同様に
「よくわかんないけどコーナー作って、商品と冊子は置きました」のような
売場展開をしていたとすれば、そりゃ反応もないでしょう。


でも、熱意をもって取り組んだ店舗もあったでしょうし、何より
5ヶ所もインストアイベントを行った森山愛子の歌唱力や人柄は
偶然通りがかった人や、タワレコ関係者の心をつかんだと信じています。


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近年、各地のショッピングモールに出店しているタワレコで、
演歌のインストアライブを行うケースも確実に増えてきました。
演歌・歌謡曲に携わる者として、理解を示してくれるタワレコは、大変心強い存在です。
いや、「心強い」なんて余裕をかましている場合ではなく、従来のレコード店が次々と閉店する中、
今後タワレコとよりよい関係を築いていかなければ演歌は生き残っていけないと思っています。
CD不況の今、タワレコ側にとっても、開拓すべき客層として年配の演歌ファンは魅力的なはず。
近所のレコード店が閉店して、音楽配信にシフトすることもできず、「どこでCDを買えばいいんだ」と
路頭に迷っている演歌ファンも少なくないでしょうから、それを取り込むチャンスなのです。


演歌ファンの多くは、今はまだタワーレコードを遠まきに見ている状態だと思います。
でも、坂本冬美のポスターへの起用や、タワレコで開催する演歌イベントが増えてきたことで
タワーレコードも、ちゃんと演歌をわかってくれてるんだ」
と思い始めているのは間違いありません。


ですから、また違った形で、演歌・歌謡曲のキャンペーンに
取り組んでくれることを願ってやみません。